ドローンを使った業種は今や市場規模を格段に伸ばしており注目の産業となってきています。
ドローンでの外壁調査も赤外線カメラを搭載することで今や主流です。
なぜなら従来の外壁調査と比べると、比較にならないくらい数多くのメリットがあるからです。
この記事では、従来行われていた外壁調査とドローンでの外壁調査の違いを比較し、またドローンを使用する場合の注意点や相場となる費用の目安も伝えたいと思っています。
これから外壁調査を依頼しようと考えておられる方にとって役に立つ記事を目指していく所存です。
ドローンによる赤外線外壁調査とは?
赤外線調査はまずドローンで普通の撮影を行います。
通常の空撮から、外壁に近い位置から撮影し、目に見える外壁タイル、塗装のひび割れ、シーリングの劣化を確認します。
そして赤外線調査は、赤外線カメラで撮影した映像データをから、温度変化を可視化させて外壁タイルの浮きや剥がれを発見していく手法です。
ドローンで赤外線カメラを使った外壁調査の特徴を下記に4つ説明します。
1.赤外線カメラの技法とは? 2.赤外線カメラを使った外壁調査のメリット 3.ドローンとの併用で赤外線カメラのデメリットを補う 4.国が定めた12条点検にも有効 |
1.赤外線カメラの技法とは?
赤外線調査は外壁に生じている温度変化を熱画像として可視化させ、調査員が解析を行って調査していく技法です。
赤外線カメラで外壁を撮影すると、外壁の劣化した箇所と正常な箇所とでは、表面温度に違いが生じその違いを色で判別でき、ピンポイントで異常個所を特定できます。
たとえば外壁タイルやモルタルに浮きがあると、その隙間の空気が温められ正常な壁面と比較すると温度が高くなり、またタイルに水漏れがあると、水分が蒸発する時に周囲の熱を奪い温度が低くなります。
人の目による目視では発見しずらい外壁パネルやタイルの浮きや剥がれといた劣化箇所を、高解像度の赤外線カメラの撮影データから一目瞭然に発見できます。
また赤外線を使った点検の記録は、公的機関に提出が可能で、十分根拠と権威のあるデータとして評価されています
下記の画像から壁面にできた劣化がわかります。
上記の写真は左右の写真は同じ建物の外壁を撮影しています。左は通常の状態での外壁ですが、右は赤外線カメラの映像です。
赤外線を当てると全体にタイル浮きが見られ、特に黒丸の部分は高温となって白っぽくなっているのが分かります。
左の写真では黒丸で同じ部分を示していますが、肉眼で分からないないものですね。
発見された異常個所だけをピンポイントに絞って精密に検査し異常の種類を特定できるので、点検にかかる時間的ロスを大いに減らせるでしょう。
2.赤外線カメラを使った外壁調査のメリット
赤外線カメラを使用しない外壁調査の場合は、大きな高層階のビルの外壁全面を人の手によって、タイル一枚ずつ叩いて打診していかなくてはなりません。
その場合は膨大な時間と人件費が掛かってくることでしょう。
そして足場を組んだりゴンドラを設置したり高所作業車を使った打診が必要になってきます。
それらの設置は、外壁調査をする上で費用の大きな部分を占めています。
ドローンによる外壁調査は、必要なのはドローンとパイロットだけですむ利点があります。
ですから時間も人件費も少なくでき、足場やゴンドラ設置などの作業が不要となり、調査費用を圧迫していた要因がなくなので、様々な面でコストを大きく削減できるのはメリットといえるでしょう。
3.ドローンの活用で赤外線カメラのデメリットを補う
・外壁と垂直に近い位置での撮影で精度を高められる
赤外線カメラで外壁を調査することは、新しいものではなく以前より行われていました。
ですが以前の手法では、ビルから20~30m離れた場所から、手で持った赤外線カメラで撮影していましたので、どうしても精度が落ちてしまいます。
また近くで撮影できない高層階では特に精度に問題が生じていました。
たとえば赤外線カメラで精度の高いデータを取得するためには、壁面に対して垂直に近い方向から撮影する必要があります。
ですが地上からの撮影では、高層階になるほど壁面に角度がついてしまいますし、赤外線画像は対象からの距離によって品質が大きく左右されます。
たとえ望遠レンズを付けて遠くから撮影しても、外壁から距離が離れると熱エネルギーが捉えにくくなり、正しいデータが取れなくなってしまうのです。
その点、ドローンを使うと、どの階でもどの位置でも自由自在に上下左右の移動が可能で、高層階のマンションも、地上からの撮影と同じように詳細で品質の良い調査が可能です。
さらに赤外線データが取れる範囲の距離を保ちながら、高層階でも壁面に垂直に近い位置を維持した撮影が可能です。
従来の赤外線カメラを使った方法は精度はいいのですが、足場の設置、作業員の数の多さ、調査にかかる期間など時間や費用は、べらぼうに膨らんでしまいます。
ドローンを活用した調査方法は、従来の時間や費用のマイナス面を補うだけじゃなく、理想的な位置から撮影が可能なので高精度なデータも得られるようになっています。
したがって、ドローンを活用して赤外線カメラで調査する方法は、従来の赤外線カメラ調査に比べプラス要素が多く、今や注目を集めており主流となっています。
4.国が定めた12条点検にも有効
「12条点検(定期報告制度)」は、国が定めた建築基準法第12条に基づいて行われています。
つまり外壁調査は、約10年ごとに全面打診点検が義務化されているのです。
それは一級建築士などの資格を持つ人が、建築物や建築設備の調査を行い、その結果を所管の特定行政庁に報告するもので、法定12条点検と呼ばれています。
いっぽう令和4年4月1日には、ドローンを用いた赤外線調査が明文化され、報告義務が課せられている12条点検にも国によって認められるようになりました。
無人航空機による赤外線調査であって、「テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するもの」という前提条件
<引用元:令和4年国土交通省告示第110号>
ドローンによる外壁点検のメリット
1.正確な修繕見積を出せる 2.点検時間の短縮 3.コストの削減 4.外壁点検の安全性 5.壁面に損傷を与えない 6.入居者負担を軽減できる 7.可視化データの取得と保存 |
1.正確な修繕見積を出せる
従来では外壁修繕前の見積もりを出すため、作業員の手で行われていた点検によって作成されていました。
その手法では、人の手が届く範囲内でしか点検ができず、部分的な打診のみで修繕見積りが計算されていました。
それゆえ充分な修繕前調査が行えていないため、実際に修繕作業を行ってみると、当初予定されていた見積りより高くなってしまうことが多くあったのです。
ですがドローンの外壁の修繕前調査にドローンを活用することで、赤外線カメラなどの空撮により細かい調査が行える上、高さや建物のデザインの制限などなしに点検することができます。
それゆえ見積前の調査の範囲が広がり修繕前に、より正確な見積りが出せるようになっています。
修繕前の正確な報告書が出ることで、修繕する際の優先順位を決められ、工事の最善案を判断できます。
何より、当初予定していた見積価格より予算が跳ね上がることが避けられるので安心できるでしょう。
2.点検時間の短縮
作業員の手によって外壁調査の点検を行う際、精度を出す必要があるため打診調査を行っていましたが、高層階のビルになると点検範囲が広大になるため長い時間が必要でした。
作業員の手による点検作業は最短でも数週間、なかには数か月を要する場合もあります。
また作業員のための足場を組んだり、安全のためロープ、ゴンドラ、クレーン車などの準備が必要となり一層の時間がかかってしまいます。
いっぽうドローンで外壁調査を行う場合は、空撮で広範囲に一挙に点検が可能なため、たった一日程度に短縮できるので、この点も画期的で優れた手法といえるでしょう。
3.コストの削減
ドローンによる外壁点検は、人件費も機材費も抑えられるため、点検費用のコスト削減になります。
ドローンを利用する場合は、人件費としては最低限ドローンパイロットさえいればいいのです。
また使用する高性能のドローンは、操縦も空撮撮影やその解析も自動で行うため、専門的な知識を持っている必要はありません。
人件費は相当なレベルでコスト削減が可能になるでしょう。
いっぽう作業員による外壁点検の場合は、前述した足場などが必要となり、足場を組む費用として多額にプラスされるので予算に入れておく必要があります。
そして広範囲の外壁を打診調査していくには、人海戦術が必要となり多くの人件費がかかります。
作業員の手による点検には足場関係だけみても多くの機材が必要でしたが、ドローン点検では機材としてドローンがあればすみます。
こうして従来の方法と比較してみると、ドローンの外壁調査は比較にならない程のコスト削減に繋がるでしょう。
一例を挙げますと、従来の方法で外壁面積1,000平米ほどの介護施設にかかる費用は前回では242万円でした。
その見積もり内容が下記画像です。
ところが、知人の不動産オーナーから聞いたドローン外壁調査会社のP.W.Dを利用したところ、202万円もコストカットされたのです
その証拠が下記の見積もりになります。
<出典:外壁調査まとめ>
242万円が39万6千円にダウンし、202万円もカットされたのですから驚きですね。
4.外壁点検の安全性
ドローンの外壁調査では、地上からドローンの映像を確認しながらの点検のため非常に安全です。
いっぽうドローンを使用しない調査は、作業員が自らの手で打診調査を行うため、特に高層部での調査は落下の危険性を常に意識しなければなりません。
またドローンでの外壁調査の場合は、点検用のドローンには衝突防止センサーが搭載されており、自動操縦も可能なため操縦ミスや衝突の危険もほとんどないといえるでしょう。
5.壁面に損傷を与えない
ドローンによる赤外線外壁調査は、外壁を傷つける心配がありません。
なぜなら、ドローンは外壁から離れた位置を飛行するため、壁面のタイルなどと直に接触しないからです。
しかし打診による点検調査の場合は、壁面との接触は避けられません。
なかには劣化が進んだ壁面は、軽く撫でただけでタイルが剥がれ落ちることもあり、外壁を簡単に傷つけてしまいます。
さらに、足場をかける際に固定のためにアンカーを壁面に打ち込む必要があり穴をわざわざ開けてしまうことになります。
もちろん作業終了後に補修されるものの、外壁に穴を開けるわけですから、その穴が原因となって劣化が進み、傷を増大させてしまうことが考えられます。
またドローンによる赤外線外壁調査でも、ドローンの飛行中に建物にぶつかってタイルを傷つけることもありえるかもしれません。
しかしドローンの機体には、前述した衝突防止機能や障害物回避機能が備わっているので、そのおそれはほとんどないといっていいでしょう。
6.入居者への負担を軽減できる
ドローンの外壁調査では、作業員による打診調査と比べ、建物の入居者への負担を大幅に減らせます。
なぜなら、足場を組む必要がないためです。
足場を組むとなると、日当たりが悪くなったり、窓が開けにくいなどの我慢を入居者に強いてしまいます。
また足場を伝って各入居者宅に行き来できるので、プライバシーやセキュリティー面がおろそかになってしまいます。
しかしドローンの外壁調査なら足場が原因となる入居者が感じる不便さや不安はなくなります。
もっともドローンの撮影でも、プライバシーは多少損なわれるかもしれませんが、それも1日だけのドローン飛行だけですんでしまいます。
それと比較すると長い間足場が組まれての負担は、比較にならないほど軽減されるはずです。
7.可視化データの取得と保存
ドローンの外壁調査で赤外線カメラで撮影された画像データがあれば、異常個所を可視化し「こうなっています」と明確に示せるため納得してもらいやすいです。
いっぽう作業員の打診は、調査員による聞き分けという主観的な感覚が頼りで、それを証明するのは難しくなります。
さらにタイル浮きをしている証拠も示しにくく不明瞭でした。
そのことを考えると、ドローンによる赤外線外壁調査では、調査に関わる全員に画像データという客観的な資料を共有できる利点は大きいです。
またドローンには静止画と動画で点検記録の保存が可能です。
ですから異常が発見された際は、過去の点検履歴と照らし合わせることで、外壁に生じた劣化の進行具合を確認できます。
従来の作業員の打診調査では、点検結果しか遡れませんが、ドローンでは過去の点検毎の外壁の状態を映像で確かめられますから、それらを比較しながら納得して修繕に取り掛かれます。
ドローン外壁調査の費用相場
ドローン調査も費用は各社バラバラで意外と高額な会社もあります。
1000平米の建物を想定しての4社の見積もりです
会社 | 1平米あたりの料金 | その他諸経費 | 税込み合計 |
---|---|---|---|
A社(福岡県 保険調査会社) | 490円/1㎡ | 200,000円 | 759,000円 |
H社(東京都 不動産関連会社) | 580円/1㎡ | 90,000円 | 737,000円 |
K社(大阪府 不動産会社) | 750円/1㎡ | 100,000円 | 935,000円 |
P.W.D(千葉 ドローン専門会社) | 350円/1㎡ | 60,000円 | 410,000円 |
ドローンの外壁調査に参入してくる業者も多いですから、信頼でき保証のいい業者を数社見積り比較するとよいでしょう。
ドローンの外壁調査の注意点
ドローンの外壁調査にも下記4つの注意点があります。
1.赤外線調査は条件によっては機能しない 2.法律や条例による制限 3.ドローン飛行に向かない立地 4.ドローンの飛行は天候に左右される |
ドローンでの外壁調査の限界について順に説明していきます。
1.赤外線調査は条件によっては機能しない
ドローンの外壁調査での赤外線調査はいつでも行えるわけではありません。
なぜなら赤外線調査の特徴である温度変化が発生しないと実施できないからです。
下記に温度の差が生じにくい具体的な状況下をまとめます。
・風が強い ・天候が悪い ・外壁が気温や日照の影響を強く受ける ・北向きで常に外壁温度が低い ・隣の建物が隣接している |
2.法律や条例による制限
ドローンの飛行には、航空法や小型無人機等飛行禁止法などの法律で規制されているエリアがあります。
規制されている地域では事前に許可申請を提出する必要があったり、ドローンの飛行が不可能な場合もあります。
特に住宅街や商業エリアの場合は、ドローンの飛行許可を取る必要があり確認が不可欠です。
ドローン飛行が規制される地域や許可申請については下記の記事を参照してください。
ドローン飛行の申請はどこに?法律によって異なる違いを解説!
3.ドローン飛行に向かない立地
ドローンの外壁調査の障害となるドローンを飛ばせない環境があります。
たとえば前後左右や上方向に逃げ場がないような場所では、衝突などの物理的な危険が伴うためドローン飛行は向かない環境といえるでしょう。
具体的には下記のような状況です。
・隣接するビルとの距離が概ね5m未満 ・複数本の電線が縦横に張り巡らされている ・周囲に電柱が多い |
上記の場合はドローンを飛行させるだけの空間が確保されていないため、ドローンを使用できません。
4.ドローンの飛行は天候に左右される
ドローンの外壁調査で、前述した赤外線調査の場合と同様、ドローンの使用も天候に左右されます。
ドローンの飛行は、雨天や風の強い日には困難になるからです。
ドローンはプロペラで飛ぶ構造のため風に流されやすく、精密機器ですので雨などの水気は厳禁となっています。
ドローンを飛行させる条件は、風が少なく雨の予報も出ていない日が理想です。
自然現象を相手にしないといけませんので、ドローンでの外壁調査をする際も天候不良で延期となる場合に備え、予備日を設定しスケジュールに余裕を持たせておきましょう。
ドローンの外壁点検は信頼できる業者に委託する
ドローンの外壁調査は今や主流となり、参入する業者も増えています。
そして調査結果は業者の力量によって大きく左右されてきます。
ドローンの操作技術や知識はもちろんのこと、赤外線データの解析の取り方、精度の高さは調査員の経験にかかってきます。
また建物を調査点検するわけですから、最低限の建設業の知識も必要なことでしょう。
そうした技術、技能のための資格として「赤外線建物診断技能士」が挙げられます。
「赤外線建物診断技能士」は認定登録は2年間で、更新手続きをしなければなりません。
取得したら終わりの資格ではないので、その後も熟練していく必要があります。
そうした資格とドローンの優れた技術を持つ調査員がいる業者を探すことはおすすめです。
インターネットで検索したり、ドローンで外壁調査をしたことのある知人の紹介でも探せるでしょう。
また信頼できる要素として、もしもの事故に備えドローン保険に加入していることも目安となります。
P.W.Dでは、毎月40名限定でWEB申し込みキャンペーンを実施しており、先着40名に1㎡あたり250円で調査を行っています。1000平米あたり10万円の値引き!
PWG無料見積・全国対応はこちら
ドローンの外壁調査のまとめ
ドローンの外壁調査は、従来の作業員の壁面の打診の手法と比べると大きな違いがありました。
ソローンに赤外線カメラを搭載して撮影することで、異常個所をピンポイントで確認でき、その箇所だけを精密に検査できました。
しかし、従来の打診の方法では高層階の大きなビルやマンションの広大な壁面に施していくわけですから、大変な時間がかかり、作業員の人件費やかかる作業期間はべらぼうに高くなります。
また高層階の作業の場合は落下の危険があり安全性の問題は大きな課題です。
足場を組んだりするための機材も高くつきましたし、マンションならプライバシーやセキュリティーの面で住民に大きな負担を負わせてしまいます。
こうした問題点はドローンなら一挙に解決できます。
しかしドローンの使用には環境や天候に左右され、飛行が不可能な事態もあります。
スケジュールを余分に抑えておく必要もでてきますが、従来の打診法に比べるなら微々たるものといえるでしょう。
さらに義務化されて所有者の負担となっている建物の調査点検に、大幅な効率化と省コスト可を実現させるドローンの調査点検は、今後ますます需要が増し市場が広がってくるでしょう。
この記事を通じ、ドローンの調査点検を考慮されている方にとって、大いに参考としていただけるよう願っています。